胃悪性リンパ腫とは
GASTRIC MALIGNANT LYMPHOMA
胃悪性リンパ腫は、胃のリンパ組織に発生する悪性腫瘍であり、消化器系の中でも比較的まれな疾患です。消化管の中で胃が好発部位で、胃がんよりは頻度は低いですが深刻な疾患であり、内視鏡検査による早期発見と治療が非常に重要です。胃におけるリンパ腫は、リンパ球という免疫細胞が異常に増殖(悪性化)することで発生し、胃の粘膜に腫瘍を形成し通常の胃がんとは異なる特徴を持っています。無症状で偶然発見されることが多いですが、進行すると胃の不快感や痛み、食欲不振、体重減少など非特異的な症状が出ます。
胃悪性リンパ腫の種類
胃悪性リンパ腫のほとんどは MALT リンパ腫(約40%くらい)とびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)(約30-40%)の2種類があります。他のリンパ腫(濾胞性リンパ腫,マントル細胞リンパ腫などの B 細胞腫瘍,また成人 T 細胞白血病リンパ腫などの T 細胞腫瘍)は稀です。
MALT リンパ腫は、男性と女性の割合はほぼ同じで、発症年齢は平均60歳ですが若年から老年まで幅広く発症します。発生病因の多くは Helicobacter pylori(H. pylori)感染によるリンパ濾胞性胃炎が背景病変と考えられています。低悪性度B細胞リンパ腫に分類され悪性度は低く進行も緩徐です。
DLBCL は胃悪性リンパ腫の中でMALTリンパ腫に次いで多いですが、全身の悪性リンパ腫の中で最も多いリンパ腫になります。胃よりも小腸や大腸で発生頻度が高いです。発症年齢は60歳以後で、進行すると腹痛、嘔吐、下血などを呈する場合があります。H. pylori との明かな関連性は認められていません。一部MALT リンパ腫との関連したリンパ腫や MALT リンパ腫と関係のない高悪性度リンパ腫を認め、一部の症例では EB ウイルスが関与することもあります。
悪性リンパ腫の種類によって治療方法を選択
胃 MALT リンパ腫の多くはH. pylori 除菌により多くは寛解します。除菌で改善ない場合やH. pylori陰性の場合は放射線治療や薬物療法を行います。ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、長期間にわたる感染が胃のリンパ組織に悪影響を及ぼすことが知られています。また、免疫力が低下すると、体内で異常な細胞が増殖しやすくなり、リンパ組織にもその影響が及ぶこともあります。慢性的なストレスがある場合には、胃悪性リンパ腫のリスクが増大する可能性も否めません。
DLBCLの治療は複数の抗がん剤を組み合わせたR-CHOPという化学療法や放射線治療が基本になります。最近ではCAR-T療法と呼ばれる比較的新しい治療も行われています。