悪性化する可能性もある腫瘍
PANCREATIC CYSTIC TUMOR
IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)、MCN(粘液性嚢胞腫瘍)、SCN(漿液性嚢胞腫瘍)、PNET(膵神経内分泌腫瘍)、SPN(充実性偽乳頭状腫瘍)といった多様な膵のう胞性腫瘍の種類があります。良性から悪性まで多岐にわたるため、適切な診断が大事です。膵臓に液体を含む嚢胞が形成されるもので無症状のまま進行しますが、悪性化するリスクもあります。
膵のう胞性腫瘍とは?
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は、膵管上皮に腫瘍細胞が発生し、粘液を分泌することで膵管が太くなる嚢細胞状に見える病気です。IPMNには、主膵管に腫瘍がある「主管膵」 「分枝型」、主膵管に合流する分枝に腫瘍がある「分枝型」、および両方に腫瘍が存在する「混合型」の3つのタイプがあります。多くの場合、IPMNは低悪性度で経過観察が可能ですが、腺腫や上皮内癌に成長し、膵管外に浸潤・進行する可能性があります。このような場合、潤浸癌となる前に切除しますが必要です。浸潤がんが疑われる場合は通常の膵がんと同様の切除を行い、初期IPMNには膵臓機能を温存する低攻撃攻撃な手術を選択しています。
粘液性嚢胞腫瘍(MCN)
粘液性嚢細胞腫瘍(MCN)は、膵管とつながらずに独立した嚢細胞が形成される粘液産生腫瘍で、主に膵臓の体尾部に発生し、患者の多くは女性です。腫瘍ですが、嚢細胞壁にがんが発生し、周囲組織や遠隔臓器に浸潤・転移する可能性があります。浸潤がんになる前であれば、腹腔鏡下膵切除が有効であり、治癒がなお、腫瘍が大きい場合や高さの浸潤がんを伴う場合には、開腹手術が必要となることもあります。
充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)
充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)は、本来は中が詰まった腫瘍ですが、腫瘍内の血管が壊れて出血や壊死が早く、嚢細胞が形成されます。あり、若い女性に多く見られるのが特徴です。 低悪性度の腫瘍ですが、稀に転移する可能性があるため、発見された場合には切除が推奨されます。治癒が期待できるため、腹腔鏡下膵切除や膵機能温存手術が適しています。 なお、大きな腫瘍の場合は開腹手術が必要になることもあります。
漿液性嚢胞腫瘍(SCN)
漿液性嚢細胞腫瘍(SCN)は、漿液を含む小さな嚢が多数集まって形成される腫瘍です。基本的に良性であり、多くの場合、経過観察で大きさに変化が見られません。まれに腫瘍が大きくなり、周囲の臓器や血管を圧迫して腹痛などの症状があることを考えます。その場合は手術が検討され、腫瘍の部位に応じて膵頭十二指腸切除や膵体尾部切除などの方法が選択されます。