直腸NET
Rectal-NET
NETとは神経内分泌細胞から発生する腫瘍で、以前はカルチノイドと呼ばれていました。カルチノイドという病名は “がんもどき”という意味を持っています。他の悪性腫瘍と比べて比較的おとなしい腫瘍ですが、遠隔転移を来すような症例もあり、2000年に世界保健機関(World Health Organization:WHO)によりカルチノイドから神経内分泌腫瘍 (neuroendocrine tumor: NET)という名称に変更されました。
特徴
神経内分泌細胞はホルモンやペプチドなどを分泌する細胞の総称で、全身に分布しているため、NETも全身の臓器に発生します。NETは消化器領域に発生するものが約60%、肺や気管支など呼吸器領域に発生するものが約30%とされています。消化器領域では、膵臓、直腸に発生するものが最も多いため、内視鏡検査でよく遭遇するのは直腸の病変(直腸NET)ということになります。
直腸NETは粘膜の深い部分に存在する内分泌細胞から発生する上皮性腫瘍ですが、見た目は粘膜の下から発育する粘膜下腫瘍のような形になります。一般的に色調は黄色がかった隆起が特徴的です。腫瘍の増大に伴い、表面が凹む陥凹や、掘れた潰瘍を認めることもあります。
NETは、腫瘍細胞の悪性度によって、増殖能が低い 低~中悪性度のNET( NET G1、NET G2、NET G3)と、増殖能が高い高悪性度のNEC(neuroendocrine carcinoma)に分類されます。この悪性度の違いによって治療方法が大きく異なります。
検査
直腸NETの診断には、内視鏡検査と組織検査で診断します。
内視鏡(大腸カメラ)を使用して直接観察し、腫瘍の部位、大きさ、形などを確認した上で、組織検査のための生検を行います。内視鏡で見ると、表面が正常な粘膜に覆われている黄色調の粘膜下腫瘍として発見されることが多いです。
直腸NETは粘膜の下に位置するため、粘膜表面からの生検では病変が深いと腫瘍組織が採取できない場合もあり、診断の確定になかなか至らない場合もあります。
病理組織が採取できれば、NETかどうかの診断に加えて、正確に悪性度分類を行うことで、治療方針を決定することになります。正確な診断・適切な治療方法の決定のためには、病理組織診断が必須です。
治療
直腸NET(カルチノイド)の治療には、手術、薬物療法、局所療法などがあります。
基本的に、安全に切除できると判断される場合は腫瘍を残らず切除することになります。
1.内視鏡的切除術
腫瘍サイズが1cm以下、深達度(深さ)が粘膜下層レベルにとどまる、形がいびつでな いもの、という条件が揃うような腫瘍は転移率が低いとされています。超音波内視鏡検査やCTでリンパ節転移や遠隔転移がないと確認できた場合は、内視鏡治療を行います。
2.外科的手術
腫瘍サイズが1cm以上、深達度(深さ)が粘膜下層より深いものに関しては、リンパ節への転移のリスクが高くなるため外科手術を行うことになります。あくまでNET治療の原則は外科的切除となっています。
3.薬物治療
手術が不可能な場合には、薬物療法を行います。
薬物療法は腫瘍の進行を抑える目的の治療と、症状を改善する治療に分けられます。